●新世紀クリート

ストーリー
塾をサボって神秘の丘で空想にふけっていた光一は、偶然耳にした声に導かれ異世界イマージュへとやって来た。彼がそこで見たのは、進化のエネルギーを失い消滅へと向かう楽園の姿だった。世界を破壊しようとする女神に、光一とイマージュの少女チムが立ち向かう。

●短編集-2に収録
作品本編30P

 


●ギャラリー

 

■作品の背景
どこにでもいる平凡な少年の光一でしたが、異世界イマージュでは想像力を武器に、神をもしのぐ勇者になります。人間にとってイマジネーションとは生きるための原動力なのですが、現代は夢を見ることが難しい時代になりました。何もかもが複雑になり、精神的なゆとりが少なくなったせいなのかもしれません。

■キャラクターデザインの再考
デジタル化に当たっては、イマージュの少女チムのデザインを一新しました。原版ではモダンなロボットの外観だったものを、古代のハニワや土器のようなイメージを全面に取り入れ、なおかつロボットのような擬似生命体として描いています。一方、少年は著者の主人公としては初のメガネっ子(原版はメガネ無し)です。実はメガネの有無をどちらにもできるように、メガネだけ別レイヤーに描きました。メガネの有無による印象の違いや、メガネが特殊アイテムとして使えないか等と考えたのですが、結局は特に意味は無かったようです。強いて言えば、メガネがあることによって主人公がややひ弱に見える点でしょうか。レイヤーの合成で好きな方を選べる点も、デジタルマンガならではのアドバンテージです。

■実は大変だったリニューアル
どういうわけか、本作品のデジタル化に当たってはモチベーションが上がらず、完成までに相当な時間がかかりました。原版執筆当時はそこそこ良い出来だと思っていたのですが、改めて読み返してみると、緻密な作画の割りに著者自身が魅力を感じないという、致命的な欠陥にショックを受けたからです。端的に言うと「絵が死んでいる」そんな印象でした。そのモヤモヤを払拭するために作画を全面改訂して臨み、ようやく自分でも納得のいく内容に仕上がったと思うのですが、やはり最初のショックが尾を引いて最後までモチベーションが上がりませんでした。同時期の執筆作品はどれも似たような印象が否めず、今から考えればこれがスランプだったのかもしれません。何か自分の中に焦りがあり、背伸びして作画も内容もちぐはぐな面が否めませんでした。マンガも他のクリエイティブな作品同様に、自身を映す鏡のようなところがあって、特に精神状態が大きく影響するのだと実感させてくれた作品です。