●FutureWorld 202X

ストーリー
地球規模の大災害から十数年が経過し、荒廃した世界で人々は細々と生存する状況に陥っていた。元々資源の乏しい日本は、海外から資源を略奪するために、子供達までもが軍事訓練を受けているのだった。ある日、主人公の竜一は訓練中の廃墟で一人のおじさんに出会った。やがて二人は心通わせるが、おじさんは政府への反逆者として追われる身だった。

●短編集-2に収録
作品本編48P


●ギャラリー

 

■文明のもろさ
本作品は近未来がテーマです。タイトルの202X(年)は、原版執筆当時は40年も先の遠い話でした。それがリニューアルした今では、既に目前にまで迫っています。21世紀は科学を駆使した豊かな夢の世界だと、当時は誰もが考えていました。作品中の未来は望みたくも無い社会ですが、世界情勢は当時とさほど変わらず、むしろ混迷の度を深めて益々先が読めない時代となっています。何か大きな天変地異でも起これば、たちまちこの作品のような社会が現実味を帯びてしまいます

子供達まで戦いに駆り出される暗黒の未来など、絶対に現実にしてはならないものであり、そのために大人達が今何をすべきかを真剣に考えていかなくてはなりません。折りしも本作のデジタル化に伴うリニューアル中に、東日本大震災が起こりました。超巨大な地震に加えて恐ろしい津波が襲い、まさに大自然の猛威を見せつけられたわけですが、その後発生した原子力発電所の事故は、人間がいかに傲慢で愚かだということを、白日の下にさらしたと言えるでしょう。「想定外」などと言う言葉が、それを象徴しています。

■作風について
本作はちょうど作風を模索していた時期に原版を描いていて、タッチも他の作品とは異なり、よりフリーハンド的なラフなものとなっています。デジタル化の際に他の作品に近付けるようにしましたが、元の特長はなるべく残すようにしました。こうした作画は退廃的な未来を描くのにマッチしていると考えていますが、自分の持ち味とは少し違和感があって、結局実験的な1作に終わっています。内容はごくありふれた一人の少年の身の回りで起こったエピソードを中心に展開しているため、まったく華やかさはありません。しかし、地味ですが何か心に残るようなものにしたい、そんな願いを込めて作品を描きました。今でも著者は未来は子供達のためにあり、未来を創造する力が子供達にはあると信じています。