■LINDA

ストーリー
砂漠の戦場に突如現れた謎の戦闘兵LINDA。死の商人の追撃を逃れて、戦場からの離脱を試みる彼女と偶然居合わせた戦場カメラマンの瞬は、無理矢理彼女に同行することに・・・

●短編集SELECT-4に収録
作品本編32P

●LINDA
試作サイボーグ兵士。ロイド博士の命を受けて、死の商人アルゴーンから脱出を試みる。

●作品について
AD-X(SELECT-2)以来の本格的なSFの登場です。これまではSFをエッセンスとして取り入れる場合が多かったのですが、今回は現代が舞台ながら、設定等はSFそのものです。実はこの分野は最も力を入れたいところなのですが、短編集の元となった原稿の執筆時は、雑誌への投稿を主目的にしていたので、意識的にSF色を弱めた題材をメインに描いていたのです。

このサイトを訪れる人の中には、マンガ家を目指している方も少なからずあると思いますので、1つだけアドバイスをしておきますと、マンガ雑誌の編集部では、投稿としてのSFジャンルはあまり好まれません。なぜかと言うと、どんな設定でも自由に作品を作れるため、作者個人の資質を捉えにくい面があるからです。SFは極端に言えば想像だけで描けるので、歴史物等のように時代考証も、職業や特技を主体としたもののように知識や経験も必要ありません。つまり、誰でも安易に作品を作ることができるジャンルなのです。そして、自分はすごい作品を描いたと思っても、既に同じような設定や内容の作品は数多く作られていて、新鮮味に欠ける場合がほとんどなのです。

出版社では即戦力を求めているので、投稿作品で作家の資質を見極めようとします。そのため、このような作品では判断しにくいために、ハンディとなってしまうわけです。従って、このジャンルで実力を示すためには、よほど斬新でクリエイティブな物でなければなりません。キャラクターにしてもストーリーにしても、とにかく他のジャンルよりも1段高みでないと通用しません。逆に言えば、このジャンルで認められることは、相当の実力があるという証明でもあります。それを承知で挑むのも、ひとつの勉強かもしれません。

本作の場合は特に深い考えがあったわけでは無く、単に自分が描きたい物を描いたと言うことに尽きます。過去に似たようなコンセプトの作品があったとしても、それはたまたま先に作られただけと割り切っています。ただ、商業誌を目指す人は、出版社の事情も考慮して作品を描くべきでしょう。

●作画について
話は変わって作画についての裏話を。著者が雑誌への投稿後期に描いた作品は、劇画色が強いこともあって、トーンを大量に使っています。そのためデジタル化の過程での修正作業が大変でした。トーンはイメージスキャナでの読み込み時点で、作画の線と同じ扱いになります。サイズ変更したりすると、トーンが干渉模様のようになり、見た目が見苦しくなります。きれいに見せるためには一度トーンを落とし、デジタル上でトーンをかける処理が必要になります。トーンを落とすにはその部分を消さないといけませんが、作画の線がかぶっているためトーンと共に消えてしまいます。結局消した後に新たに作画しなければならず、作業量としては膨大になってしまうのです。更に原稿執筆当時から時間が経過して加筆・修正したいシーンも多々あり、益々作画量が増えてしまうわけです。

●キャラクターについて
原稿のリンダはもっとおっとりとした感じで優しい顔立ちだったのですが、リリース作品ではややきついシャープな感じにしています。また、瞳をレンズのような感じにして人工的な雰囲気を与えています。スーツや武器はノーマルを指向したために、デザイン的にはあまり洗練されたものにはなっていませんが、リンダ自身が試作品の設定でもあるので、この辺りは好みが分かれるところでしょう。

メインキャラである瞬とリンダとの関係を、もう少し深く掘り下げる事ができれば良かったのですが、これもSFの難しいところです。日常のドラマと違いSFではその背景を読者に伝えねばならないので、その分にページが割かれてしまいます。特に短編ではページ数の関係から物語が希薄になりがちなので、こうした点もSFのハンディであるわけです。

●神谷瞬
フリーの従軍カメラマン。砂漠の戦場で偶然リンダに出会い、彼女と行動を共にする。

●ロイド博士
リンダにサイボーグ化手術を施した。彼女の父親代わりでもある。
●アルテア軍の司令官
脱出を続けるリンダらを保護する。しかし、前線基地で・・・
●グランドクルーザーの指揮官
砂漠の地底を移動する地底潜行艦の指揮官。逃亡したリンダを追う。
砂漠の戦場で瞬とリンダは出会った。瞬の目の前で戦車が吹き飛ぶ。
リンダを執拗に狙うアルゴーンの刺客。果たして無事に戦場から脱出できるのか。

砂漠の地下を進むグランドクルーザーがリンダを追う。