●目覚めの時

ストーリー
辺境の地に人知れずたたずむ研究所。そこで天才科学者ロイドは、旧友の安人の助けを借りてアンドロイドのリンダを完成させた。しかし、それが悲劇の始まりになるとは、ロイドには知る由も無かった。

●短編集-2に収録
作品本編12P

 


●ギャラリー

■原点の作品
著者が学生時代に執筆したマンガで、最も古い作品の一つです。それまでにもいくつか作品らしきものは描いたものの、今となってはとても人前に出せる代物ではありません。本作の原版もそうした1つでしたが、この短編集の制作に当たって一つの区切りとして、原点である本作を加えることとしました。

原版は今見るとやはり全てにおいて稚拙ですが、作品の核となるものは紛れも無く著者の真髄だと思えます。たった12ページの超短編が本作なら、実はその数年後に描き直したロングバージョンも存在します。そちらに関してはまた別の機会に譲るとして、今回は初期作品のストーリーにやや含みを持たせ、作画に関しては全面的な描き直しを行いました。個人的な執着もあるので、この際出来・不出来は不問にしておきます。

■アンドロイドの未来
主人公の安人とライバルのロイドは、前者が努力型の秀才なら、後者が生まれながらの天才と対照的です。そしてロイドが造り出したアンドロイド、リンダをめぐってストーリーが展開します。努力しても越えられない絶対的才能の壁、そんな安人の嫉妬心が悲劇へと突き進みます。「目覚めの時」、それはアンドロイドとしての宿命を背負うリンダの門出であり、安人にとっては積年の心の重圧からの開放でもありました。

本作は同時収録の「AD-X」の原点でもあります。どうも著者は悲観論者のようで、アンドロイドに対してもバラ色の未来がなかなか想像できません。人類に代わる進化の後継者として、より良い未来を切り開いて欲しい願望はありますが、黎明期にはきっと大きな試練が待ち受けていることでしょう。良くも悪くも種としての人類の業を背負ってスタートするわけですから、前途多難なのは間違いありません。白紙の心を持つリンダが進む未来に何が待ち受けているのか、いつかそれも考えてみたいものです。