■目覚めの時

ストーリー
天才科学者ロイドを手にかけ、彼が造ったアンドロイドのリンダを奪った安人だったが、予想もしないトラブルによって計画が狂う。

●短編集SELECT-7に収録
作品本編12P

●リンダ
ロイドが造り出した世界最高のアンドロイド。

●作品について
本作品は著者が学生時代に描いたもので、創作活動の原点となる作品の1つです。それまでにも数本のマンガを描きましたが、とても作品と呼べるような代物ではありませんでした。「目覚めの時」の原版は、ぎりぎり人前に出すことができる初の作品だったと言うわけで、当時他の仲間と共に冊子を作って記念としました。今回のリニューアルで他の作品同様一定の水準はクリアするよう、作画等も全面的に描き直しています。ただし、ストーリーに関してはなるべく原版に近い形で再現しました。改めて振り返ると、原版は絵も稚拙なのですが、最大の問題はコマ割のまずさでした。あまりに冗長的なコマが多過ぎて、コマ落ちしたアニメを見るような感じです。ムダをそぎ落とせばストーリーのテンポも良くなり、印象的なシーンを演出できるようにもなります。この点をリニューアルの最大のポイントとしました。

ところで、「目覚めの時」にはその後描いたロングバージョンも存在します。超短編では描ききれていない二人の関係等も含めて、より内容を充実した作品で、こちらもいずれ別の機会に手を加えて公開したいと考えています。余談ですが、SELECT-2に収録した「AD-X」、実は本作品が原点になっています。主人公の歪んだ心が悲劇をもたらす点で共通しており、どちらもアンドロイドにとっては波乱の未来が想像できます。

●アンドロイドへの想い
昔から著者はアンドロイドにたいへん興味がありました。人間はどうしても肉体と言う鎖に縛られ、常に生物としての限界が立ち塞がります。この有機物でできた肉体は極めて脆弱で、生命とはロウソクの炎のごとくはかない存在です。人類の歴史はいかにこの脆弱さを克服するか、その試行錯誤でもあるわけです。しかし、アンドロイドならその限界を打ち破り、人類では到達できない未来を切り開く可能性があります。もちろん人類もいずれは精神を人工頭脳に定着させる技術を獲得し、肉体を機械化(あるいは人造的な生体への置換)して自らがアンドロイド化するかもしれません。そうなった時、果たして両者の境界がどうなるのか、違いは頭脳の中身だけということも十分考えられます。そうなると、ソフトウェアの作り方の違いを議論するようなもので、本質的な中身の違いは判然としなくなります。それはそれで新たな問題を提起することになりそうですが、今はそこまで考えるのはやめておきましょう。

●工堂安人
ロイドをライバル視し、彼に劣等感を抱く科学者。優秀なゆえの歪んだ感情が悲劇を招く。

●ロイドアシモフ
安人の友人の天才科学者。リンダを完成させるために情熱を燃やす。
リンダ完成の時、安人は計画を実行に移した。
目覚めたばかりのリンダは、初めて自ら立ち上がろうとする。