●思い出は永遠に

ストーリー
アンドロイドのハルカが目覚めた時、傍らには息絶えた老博士の姿があった。彼の名は森羅悟(しんらさとる)。ハルカは博士の青年時代に憧れた女性、時環(ときわ)はるかをモデルに造られたのだった。アシスタントロボットに教育されて博士の過去を知ったハルカは、若き日の悟に興味を抱いて自らタイムマシンを作り過去に飛ぶ。しかし、最初は過去を変えて博士の思いを成就させようと考えていたが、次第に博士に思いを寄せるようになってしまった。過去を変えれば未来が変わり、元の世界には戻れない。そして、訪れた運命の日・・・

●単独出版及び短編集-3に収録予定
作品本編XXP

 

 


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■作品プロット
短編集-2に収録した「目覚めの時」のリニューアル時に考えた、長編読み切りとしてのもう1つのストーリー。

若き日の悟はロボット工学を専攻する学生だった。彼が密かに憧れたのは、生物学を専攻していた同級生のはるか。内気な彼は彼女をただ見守るだけだった。しかし、卒業間近に彼女は交通事故で死亡。その後、悟は工学博士となり研究に打ち込む。そして彼女への思いを胸に、60年の歳月をかけてはるかそっくりのアンドロイドを完成させた。しかし起動寸前に息絶えて、ついに彼女の微笑みを目にすることはなかった。

一方、目覚めたハルカは博士のアシスタントロボットによって教育を受け、人間のように感情が芽生えて成長する。その過程で博士の過去を知り、次第に彼の生涯に興味を抱くようになった。驚異的な頭脳により、世界のあらゆる知識を吸収した彼女は、12年後に自らタイムマシンを建造する。学生時代の悟に会い、悟とはるかのキューピットになろうと考えたのだ。

しかし、タイムマシンは完全では無く、誤差によって悟が7歳の世界に来てしまった。そこで、彼が成長するのを密かに見守り、彼が19歳になった時に偶然を装って悟に近付く。まだはるかと出会う前だった彼は、やがて町でハルカにそっくりのはるかを見かけ、旧知の仲のように声をかけたのだが、何も知らないはるかにひっぱたかれて嫌われてしまう。

しかし、それがきっかけで彼女と面識を持つようになり、やがて普段でも会話を交わす友人にまでなった。それと言うのも、陰でハルカが色々と画策したためだ。そうこうしているうちに、ハルカの方が悟に思いを寄せるようになってしまう。彼を見守っていた12年の歳月が、彼女の心に大きな変化を与えたのである。

やがて迎えた運命の日。それは、雨の降りしきる海岸の丘の公園(大学の近く)で、時環はるかが交通事故で死亡した日だった。ハルカは彼女を助けるべきか迷った。彼女が助かれば悟はハルカを造ることは無いだろう。自分が存在しなくなるのが怖かった。かと言って、彼女を見殺しにすれば、悟に生涯の傷を残すことになる。迷った挙句、ハルカは携帯で悟を公園へと呼び出した。はるかを助けるために、自分が身代わりになることを決意して。