●パラレルショック

ストーリー
県大会に向けて毎日テニスの練習に励むさやか。コーチにしごかれ自分に自信を失った時、突然平行宇宙の秩序が壊れて世界が一変する! 意識とは無関係に繰り返し発動する意識転移。流転の果てに彼女を待つものは・・・

●短編集-2に収録
作品本編32P


●ギャラリー

 

 

■SFのエッセンスを日常に
パラレルショックはSFのジャンルに属する作品ですが、SFに付き物のメカニック類は全くといって良いほど登場しません。謎の女性メビウスや超能力リミッターのアクセサリー、それらしいセリフ等はあるものの、ほとんどはSFをエッセンスとして取り入れているに過ぎません。

実は本作品の原案では、さやかがパラレルワールドを放浪するきっかけとなったのは、超時空振動機(時空のゆらぎを増幅させて別時空への道を開く装置)の爆発事故です。本来はこの事故をきっかけに、振動機のある世界のさやか(時空連鎖における同一人物)の意識が別時空に飛ばされ、雪崩現象的に全ての世界のさやかが意識転移を起こすというものでした。原点のさやかは時空転移プロジェクトの研究員で物語の中心人物ではありますが、超能力者では無く単なる1被害者に過ぎなかったのです。原案ではオープニングで大々的に事故の模様を描写するSFらしい発端でした。

■長編化における整合性の課題
原案では長編スタイルをとった時の最終話に当たるストーリーが、アイデアとしては既にできています。発端となった世界にパラレルワールドをさまようさやかが最後に行き着き、そこで全ての決着が図られる内容です。しかし、今のまま仮に続編のような形でストーリーを進めたとしても、同じ形では結末が成り立たちません。もしも長編化する機会があれば、全面的な設定の見直しが必要になるのは必至です。

■類似作品のパラレルな関係
同じパラレルワールドを扱った作品が、短編集-2に同時収録した「目覚めのプレリュード」です。その作品における主人公の特異な能力を、今回さやかに当てはめた格好になっており、別作では主人公が平行世界の守護者達に追われるのに対して、本作品では保護される立場になっています。いつの時代も異端者は保護されるか迫害されるかのいずれかで、現実の世界ではむしろ後者が一般的であるように思います。タイトルは違いますが、この作品をデジタル化する前に、同一コンセプトで2度作品化しています。大筋のストーリーにあまり違いは無いのですが、次第にさやかの心の内面を重視して描くようになってきています。収録作はその完成形となるわけで、著者がイメージしたものは達成できたと思っています。