●妖精華

ストーリー
自然界の警告か、神の意志か!
太古の先住植物「妖精華」が人類絶滅へと動き出す。その時、人の心を持つ妖精華・妖子が友のシクルと共に復讐のために立ち上がる。

●短編集-2に収録
作品本編32P


●ギャラリー

 

■物語の背景
本作品のタイトル「妖精華」は、著者の作品名の中でもお気に入りの一つです。優雅な響きを持つこの名は、華麗に舞う主人公の妖子のイメージそのものです。しかし、ストーリーの根幹は個人的な復讐劇であり、優雅な展開では決してありません。妖精華の1種族である黒妖華は、現在の地球を植物が支配していた古代に戻すために、人類抹殺を画策します。彼らにとって人類は、地球環境を汚染して生物に害をなす最大の敵なのです。

一方、もう一つの種族である白妖華の妖子はと言えば、人類の側に立って黒妖華に戦いを挑んでいるわけではなく、たった一人の人間のために戦っているのです。元々この作品は長編として原案を企画したこともあって、本編は全体の中の1エピソードに位置付けられます。更に言えば第1話に相当する作品となるわけで、妖子の生い立ちや戦いの理由、そしてパートナーとなるシクルや武士との出会いを網羅しています。

■大自然の警告
蘭との戦いは黒妖華との戦いの通過点であり、いずれは黒妖華のリーダーとの戦いへと発展することになるでしょう。最初は復讐から始まった黒妖華との戦いも、武士ら人間との様々な交わりから、おのずと人類の側に立って戦うこととなります。しかし、人間が自然を破壊する存在であることに変わりはなく、自然界と結ばれた絆との間で彼女の心は揺れ動くことになるのです。

産業革命以降、人類は科学文明の発展に力を注ぎ、あまりにも自然を軽んじてきました。その結果、環境破壊が進んで今では気象異変が地球規模で起こっています。自然は常に安定を求めるので、ある段階までは変化を抑制する力が働いてなかなか現状が見えてきません。しかし、許容限界を超えた時には一気に破局へと向かいます。今はまだ個々の小規模な現象にとどまっていますが、こうしたこと自体が既に崩壊の一歩なのかもしれません。ところが、未だ人類は経済を優先して環境保護は二の次です。現在の状況を考えれば、むしろ黒妖華「蘭」の側に正当性があるとも思えます。彼らの人類に対する反旗は、まさしく人類に対する自然界からの警告なのです。