■グレートマジンガー出撃に挑む■

ランチャーと発射管は下図のような構造だ。ランチャーは基礎部分に固定されていて、上下に移動可能な発射管が入っている。特長的なのは、発射管自体がシリンダー構造をしており、低部にグレートを乗せたピストンがあることだ。ピストンの下は発射管の底とその上にある遮蔽板の二重構造で、遮蔽板に固定された高圧ガスタンクが入っている。これが射出時の爆発的な圧力を生み出す要となる。

グレート射出の際のプロセスを示したのが下図だ。発射管が射出位置まで上昇したタイミングで、高圧ガスを遮蔽板とピストンとの間に一気に放出する。ガスは発射の度に外部に放出されるため、待機状態で高圧ガスタンクには基礎部分からパイプを通じてガスが充填されるようになっている。パイプは発射管が上昇する際に分離され、発射管は完全なフリー状態になって上昇することになる。

放出された高圧ガスによって、ピストンはグレートごと一気に加速・上昇して射出口に迫る。そこでピストンの射出ガス放出弁を開いて圧力を上に逃がし、ピストンを減速しつつ射出口を開く。グレートは最大加速状態でピストンを離れ、そのまま海中へと射出されるのである。同時にシリンダー内のガスも放出されるため、気泡が水中を進むグレートと水の間の抵抗を減らす役割を果たす。

海中に出たグレートの足元では、海水がシリンダー上部に流れ込んでピストンは水圧によるブレーキがかかる。ピストン自体は発射管上部で止める必要があるため、ピストン用のブレーキが別に必要になるかもしれない。グレートはそのまま海上に向かって上昇を続け、SLBMのように空中に飛び出した後、慣性によってブレーンコンドルとの合体高度にまで達する。

グレートの質量を基にして、設定高度でグレートが静止すると仮定すれば、射出の際の初速度と必要なエネルギーが算出できるだろう。こうして考えてみると、不可能に思われたグレートの射出システムも、案外現在の技術の延長上で実現できるのではないかと思える。ただし、グレートの背中から翼を出して飛ぶ飛行するための強度を保ちつつ、折りたたんで背中に収納できる程のコンパクトなものにするスクランブルダッシュ機能だけは、現在の技術レベルでは到底不可能だ。しかし、翼の収納は無理だとしても、強力なジェットまたはロケット推進器を搭載すれば、将来的に飛行も含めて実現の可能性は高いと考えている。

例えば世界最大の旅客機、エアバスA380が全長73メートルで重量約280トンであることを考えれば、グレートのサイズや重量は大したことは無い。飛行機のように翼の揚力は得られないとしても、ドローンのような形で推力を得れば飛行自体は可能だ。その方が現実味を帯びてはいるが、グレートのデザインが大幅に変わってしまうため、すんなりと採用するわけにはいかない。さて、デザインと折り合いが付くような技術は果たして生み出せるだろうか。いずれ考えてみたいテーマである。